1979 DODGE VAN B-200
Wonderful VAN Life -素晴らしきバン生活-
70年代にアメリカで生まれた自動車文化に「バニング」というものがある。フルサイズ商用バンの内、外装を個性的に飾るスタイルなのだが、時空を飛び越えて21世紀の現代で走らせ始めたオーナーがいた。
念願の角目ショートを見つけオーナーの魂に火が点いた
ダッジバンはGMのシェビーバン、フォードのエコノラインと並ぶ、アメリカの働くフルサイズバン御三家のひとつだ。本来の役目は荷物か人間を運ぶことだが、同じように商業車として生まれたトラックが、トラッキンというオシャレなカスタマイズカーになったのと同様、バンにもバニングという独特のカスタマイズの方法が加えられていく。
それが生まれたのは70年代のアメリカのこと。広さに勝るカーゴスペースを部屋のように作り変え、どこへ出かけてもくつろげるようになった「走るリビング」は、アメリカはもちろんのこと、アメリカに憧れる日本の若者にも大きな刺激を与えてくれたのだ。
そんなバニングを、令和の現代に甦らせたのが山口さんだ。ダッジバンの中で一番のお気に入りと話す角目4灯マスクのショートホイールベースモデルを2年前に栃木のショップ「マーヴェリック」で購入したことから物語は始まり、ペイントやボディワークをそのままマーヴェリックに依頼。内装はシート以外自分で生地を貼っているため、まだ未完成だが、自分の時間を使って好きなように作るという楽しみを、あせって終わらせる必要はどこにもない。「当時の純正部品や社外パーツを探したり、ショップの人たちとアイデアを練るのが楽しいです。若いころに憧れたアメリカンバニングを作ることが、すっかり生きがいになりました」
そう話す山口さんの瞳は、初めてバニングに触れた20代のころの輝きを取り戻していた。
角目4灯ライトの間にはチューブグリルを装着。ドアハンドルやリアバンパーなどは新品に交換済み。マフラーは火傷防止策としてφ60mmのサイド管の周りをφ100mmの筒で囲んでいる。アメリカンレーシングのディッシュホイール(15×8.0/10.0)を履くが、サスはいじっておらず、タイヤ外径の違いによってリアが上がって見えるらしい。
オクタゴンステアリングに、バドワイザーのビアサーバーノブといった当時を思わせるアクセサリーをセット。ブルーのチンチラを貼ったインテリアは、オーバーヘッドコンソールも含め、山口さんの自作となる。キャプテンシートはスタークラフトの製品に交換した上で、業者に張り替えを依頼した。
ゴールドリーフで描いたショーネーム“ ブルーグッピー” やハート型のポト窓が、バニングらしさを盛り上げる。ルーフのバイザーは元からついていたものをレストアし、サンルーフを新たに追加した。ピンストライプやドアミラーのエングレービング、そしてブルーとグリーンのパールを使ってツヤを出したペイントは、マーヴェリックによるものだ。
OWNER : 山口さん
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Photo:渡部竜征
Text:佐藤アキオ
アメ車マガジン 2020年 8月号掲載