1994 CHEVROLET CAPRICE WAGON
80’s-90’s BREEZE 今こそ80~90年代のアメ車にハマりたい!
独創的なルックスが魅力的なカプリスワゴン、そのデカさに反して機動力と経済性はわりとイイ!
昔ながらのフレーム構造&FR駆動としてはGM最後のフルサイズ車の第4世代シボレー・カプリス。ルックスの良さはもちろん、機動力&経済性に優れるだけに、新車時からファミリーカーとして25年間現役で活躍中!
美しいシルエットが魅力的な第4世代カプリス・ワゴン
シボレー・カプリスは、インパラの4ドアハードトップのアップグレード・バージョンとして1965年にラインナップされたのが始まり。翌66年からは正式なモデル・シリーズとして、2ドア・ハードトップ、4ドア・ハードトップ、ステーションワゴンのラインナップ。スタイリングの美しさや、高級感と経済性を両立する優れたコストパフォーマンスで人気となり、インパラを含めたBボディ車全体は記録的な高セールスとなった。
ここでフィーチャーする91~96年型の第4世代は、それまでの直線基調のスクエアなボディからエアロダイナミクスを取り入れたスムースで丸みを帯びたスタイリングに一新。4ドアセダンとステーションワゴンのみラインナップされ、セダンはポリス仕様やタクシーでの採用も多く、当時のアメリカの街並の光景には必ず映り込んでいるほどポピュラーな存在。
特にステーションワゴンは、日本人からするとアメリカらしさを感じるボディスタイルということや、シルエットの美しさで、カスタムのベース車としても人気となった。フルサイズ・ワゴンならではのダイナミックさとモダンなフォルムが、当時トレンドとなったハイテックスタイルともマッチして実に魅力的だ。
この個体のようにBOYDに代表されるアルミビレット製ホイールの装着がお約束となって、ちょっとしたブームといえるほど国内でも普及した。しかし、メジャーになったモデルこそ、一定の時期を過ぎるととスルーされ、現存数は激減…。そんな中この個体は、新車時からのワンオーナー車として25年間現役で活躍中なのだ。今となっては目にする機会がめっきりと減ったBOYDのアルミ・ビレット製ホイールも当時のまま!
90年代ならではの魅力を保持する貴重な1台だ。
カプリスに搭載されたLT1エンジンは、コルベットの300hpに対して260hpとはいえ必要にして十分なポテンシャルを発揮する。乗り心地は同時期のキャデラック・フリートウッドにも通じるシットリとしながらも安定感のある上質なフィーリング。フルサイズながらもホイールベースは3m以内に収められ、操舵角も大きくとられているため、想像を超えた取り回しの良さ。ちなみに、筆者も姉妹車のロードマスターを日常使用車として活躍させているが、全長では短いC1500よりも明らかに機動力が高い。
丸みを帯びた独特のボディ形状から、アメリカでは“ ひっくり返したバスタブ” などといわれたりする。全体のデザインにマッチする“ ロリポップ” ミラーの採用は94年型が最終となる。姉妹車のビュイック・ロードマスターワゴンとオールズ・カスタムクルーザーは、Bピラー以降サンルーフ部が一段盛上がる“ ビスタルーフ” が採用されるが、カプリスはフラットで専用レールと脱着式キャリア2本式。そのため全体のシルエットが姉妹車内では最も美しい!
アルミビレットホイールのパイオニア、BOYD “スペクトラム”の17インチを装着。開口部が楕円のデザインが、カプリスワゴンに良く似合うベストなチョイス。当時は扁平タイヤを装着してよりロワードした状態にしていたが、現在は乗り心地を優先してファイヤストンのワイドオーバル(215/60R17)を装着。
細長い水平なクラシカルなデザインから、94年型からはクラスターが独立した“ カマロ・スタイル”(ステアリングもカマロと共通)となり、よりモダンなイメージが高まる。ベンチシート2列&サードシート完備で8人乗り。サードシートはほぼ未使用なため、カーペット部の保護シートが新車時のまま残っている!
カプリスのHOTバージョンともいえるインパラSSが導入された94年からはLT1(350ci・5.7ℓ/260hp)がワゴンの標準エンジンとなる。エキゾーストが標準でシングルなのに対し、LT1ではデュアルとなる。セダンの設定エンジンでは、それまでの5.0ℓ/170hpから、4.3ℓながら200hpを発揮するL99が標準。トランスミッションは4速ATの4L60の電子バージョンの4L6E。
新車購入から25年の貴重なワンオーナーカー
この個体のオーナーは、以前から憧れていたアメ車を入手するうえで、昔ながらのフレーム構造によるFR駆動のフルサイズ車を希望。マーキュリー・コロニーパークも視野には入れつつも、シボレー車ではカプリスが最後のモデルになると囁かれていたこともあり、思い切って当時新車で購入。著名デザイナーのトム・テイラーがレンダリングを担当し日本国内で構築された有名なカプリスから刺激を受け、ホイールをBOYDのアルミビレット、グリル部にビレットパーツを投入。ルックスの良さはもちろん、予想以上の機動力やランニングコストの良さで、気が付けば25年に渡って現役。SUV以前の主流だったステーションワゴンの魅力を再認識させてくれる貴重なサンプル的な個体なのである。
Photo & Text ◆ Hideki Ishibashi
アメ車マガジン 2019年 4月号掲載