1996 CHEVROLET IMPALA SS

1996 CHEVROLET IMPALA SS

THE 90’s STRIKES BACK ナインティーズの逆襲

セダンたるべきフォルムをそのまま膨張させた独特の造形美!

ここ最近のアメ車でいうと、GM系ならキャデラックCTS、MOPAR系なら300Cがセダンシーンを賑わせるが、アメリカンセダンといえば無駄にデカいフルサイズこそ醍醐味だった。中でもLT-1のハイパフォーマンス性まで共存するマッスルセダンのSSは別格!

40代に突入した筆者が免許を取得したばかりの若かりし頃に街で見かけて、その大きさに圧倒されたのが兄弟モデルのカプリスである。当時はアストロブームからの続編でカプリスやサバーバンが人気を博しており、アストロですら大きいと感じていた筆者にとって、信号待ちでフルサイズのカプリスワゴンの後ろについた時は、その幅の広さに圧倒されたほどだ。

90年代と言えば日本のカスタムカーカルチャーにおいてはVIPセダンなるものもトレンドの一つで、街にはセルシオやシーマといった国産セダンがエアロを纏い、ローダウンに17インチホイール、さらには爆音マフラーを轟かせて走らせる者も多かったが、そんなVIPセダンたちを嘲笑うかの様な風格と、「これぞアメリカ!」と言わんばかりのサイズ感はそれだけで注目を集めた。

1996 CHEVROLET IMPALA SS

1996 CHEVROLET IMPALA SS

紹介するインパラSSはフェイスこそ冒頭で述べたカプリスと瓜二つではあるが、中身はまったくの別物。特に最終モデルの96年型はコラムシフトからフロアシフトへ変更され、デジタルメーターからアナログメーターに変更を受けたスペシャルなモデルである。

また、エンジンは260hpのハイパフォーマンスを誇るコルベット御用達のLT‐1を搭載しており、カプリスよりも大容量のクーリングシステム、ミッションオイルクーラー、そしてボディ剛性を強化すべくヘビーデューティーフレームを採用してSSの名に相応しいスペックを持つ。

現車はオリジナルの良さを残しつつも同社ブランドホイールの3ピースリバース、20インチをフロント8J、リア9.5Jの絶妙なマッチングで履きこなす。オーディオはロックフォードウーファー×3アンプ、マルチモニターが搭載され音響カスタムも抜かりない。令和に残したい名車の一つとして、十分に推薦できるキング・オブ・セダンである。

1996 CHEVROLET IMPALA SS

1996 CHEVROLET IMPALA SS

無駄なボリュームを付けずとも、その全長、全幅の大きさだけで十分な風格を放つインパラSS。ここ最近主流の大きなラジエターグリルやツリ目のヘッドライト、ギラギラと煌びやかなテール周りとは無縁なスマートかつシンプルな表情は、今見ると逆に新鮮に映る。ノンスモークのクリアガラスも実に好印象である。

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VIPセダンを中心に当時トレンドだったディッシュホイールをアメ車に取り入れたブルーリバーのヒット作!3ピースリバースは当時の最先端だった。今見るとネオクラシックで新鮮に映る。

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コルベットC4や4thカマロのV8モデルにも搭載されるLT1ではあるが、ヘッドが専用設計となり鋳鉄を採用するインパラSS。全長5.4m、全幅2.0m弱、前高1.4mのボディサイズを微塵とも感じさせないトルクフルな走りは、このLT1ユニットの恩恵によるもので、260hpは当時のマッスルカーに匹敵するレベル。スポーティーセダンやマッスルセダンの異名を持つのも納得である。

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ベンチシートにコラムシフトこそアメ車の醍醐味とされていた時代、何故か96年の最終モデルのみ突如フロアシフトに変更。さらにデジタル化に逆行する形でアナログメーターに。しかしこれこそがスポーティーセダンであり、コラムATでは少々勝手が異なってくる。ベンチシートでは攻めた走りには役不足。SSを堪能するなら迷わず96年型をオススメしたい!


同じC4コルベットでも前期と後期では異なる魅力を放つ

次世代とは似ても似つかぬフェイスとスタイリングではあるが、ポニーカーとしての実力はかなりのもの


THANKS:BLUE RIVER
TEL:0725-56-6400


PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2020年 4月号掲載

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