1969 CHEVROLET EL CAMINO SS396
18歳の免許取りたての宮田氏が地元で何度か目にしたエルカミーノ。そのエルカミーノが巡り巡ってナオキモータービルドのもとへ。数十年間眠り続けた不動車を正統派のレストアではなく、異端児的にアレンジ!
カサカサボディなのに超快調! そのギャップが肝
約3年前、2017年に不動の状態で発掘してきたエルカミーノSS396。69年型エルカミーノ自体現存する個体がそんなに多くないため、買い取りの連絡が入って車両の詳細を聞いた時に「もしかして昔見掛けたあのエルカミか?」の予感が見事に的中。
買い取り時にオーナーに話を聞くと、エルカミーノはスターターモーターの不良などで不動となり、いくつか近所の修理工場にお願いしてみたものの、どこも手を付けられず断念。その当時ナオキモータービルドが存在していたなら、また歴史が変わっていたのかもしれないが…。そのまま数十年間眠り続けるも、このまま朽ち果てるのは可哀想だと。できるのであれば、また元気に走らせてあげて欲しいと、前オーナーがナオキモータービルドに余生を委ねたのだ。
さいわいフレームやボディに致命的なダメージはなかったが、ネジを含め各部の劣化や錆が侵食しており、思い切って交換が必要なパーツはすべて新品へとアップグレード品に。レンズ類も一新してパリッと仕立てつつも、カサカサのボディはそのままストック。オリジナルの396エンジンはオーバーホールを施し、ハイカム、ハイコンプピストン、ローラーロッカーアーム、さらにはホーリースナイパーのインジェクション化によってすこぶる絶好調に!
ナオキモータービルドの核となる足回りのフルチューンも施工済みで、撮影時には間に合わなかったが、既にヴィンテージエアーエアコンキット&フロントランナーも発注済。王道のレストアも悪くないが、カサカサボディにインジェクションという異端児的なアレンジも、実に味わい深い。「見た目より中身だよ!」とはよく言ったものだが、まさにそのとおりの仕様である。
朽ち果てる一歩手前と言えるぐらい見事な錆びっぷりのボンネットやリアゲートを“ 味”として楽しむのが今回のプロジェクト。このカサカサボディには似つかわしくない新品のヘッドライトやテールレンズも、ある意味個性である。左右のフェンダーで艶感がまるで異なるのは、補修しないと厳しい部分のみリペイントを施した証であり、このアンバランス感がまた、魅力的に映える。
前後cppチューブアーム&スウェイバーに、HOTCHIKISコイルスプリング、UMIモノチューブショックアブソーバーを皮切りに、フロントドロップスピンドルでがっつりロワードスタイルに。YukonGearポジトラクションやMoserアクスルシャフト、14:1レシオステアリングボックスの換装も相まって驚くほど乗りやすい足回りへ一新。ブレーキはWilwoodブレーキマスターシリンダーにフロント6ポッド、リア4ポッドディスクブレーキ化して、パフォーマンスに見合った制動力強化も抜かりなし。
カーペットを総張り替えして3連オートメーターの追加、GRANT GTステアリングの換装済みのインテリア。長年放置されていた割には程度の良いシートはそのままストックしつつ、炎天下でも快適にツーリングできる様にヴィンテージエアーを近々装着予定。手を加えるべき所と残す所の“ 足し算引き算”を熟知しているからこそ成せる技である。
TH400トランスミッションに2800ハイストールコンバーターを組み合わせ、オーバーホール済みの396オリジナルエンジンを搭載。ハイカムやハイコンプピストン、ローラーロッカーアームに、holley Sniperのインジェクションシステムを導入。キャブ車を愛する同社では珍しいインジェクター仕様と新たな挑戦も特筆物。カサカサのボディ越しの極上エンジンが、妙に色っぽく見える!
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Photo &Text:石井秋良
アメ車マガジン 2020年 7月号掲載