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et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-
#07「 I am IRONMAN 」

米国巨大軍需産業の若き天才CEOが、居並ぶ記者を前にして「I am IRONMAN」と告げるところから、世界で最も興行的成功を収めたと言われる映画シリーズが幕を上げました。そう、マーベル・コミックに登場するスーパーヒーローを一堂に会したマーベル・シネマティック・ユニバース(МCU)の第1作、「アイアンマン」です。

それまで、日本で古くから親しまれたヒーローといえば、マーベルのライバル誌であるDCコミックのスーパーマンとバットマンでした。それぞれももちろん何度も映画化されているのはご存知の通り。特にバットマンはティム・バートン版が「大人が観られるアメコミ映画」の先達となり、クリストファー・ノーラン版三部作は「アメコミ映画」の枠を超えた高い評価を受けました。しかし、どれも1タイトルの枠を超えた広がりはなく、また、なまじ馴染んだキャラクターだけに、どことなく古いイメージが付きまとっていたようにも感じます。そこに突如現れたニューヒーローがアイアンマンでした。この場合、知名度が低いのが幸いしたともいえます。白黒時代から映画化されていたDCの2大ヒーローがどうしても全身タイツのイメージがぬぐえないのに対し、アイアンマンは初めから最先端フルCGで描かれるパワードスーツ。更に、スーツや武器無しでは「超裕福な生身の人間」という基本要素は同じながら、キャラクターは陰(ブルース・ウェイン/バットマン)と陽(トニー・スターク/アイアンマン)。映画もそんなキャラクターに合わせ、アイアンマンはPOPかつスタイリッシュに作られています。しかし、ただPOPなだけでは10年以上の長きにわたるМCUの軸にはなりえません。シリーズが進むにつれ、トニーが抱える障壁や苦悩が物語の深みの一つとなっていきます。

その名の通りに理想と友情に頑ななスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ、暴走すると手が付けられないブルース・バナー/ハルク、神様だけにマクロ的視野の欠けるソーなど、団結すると最強ながら一筋縄ではいかないヒーロー達のなかでは、ある意味で最も現実的・人間的なのがトニー。結局、最初の人外との大戦「アベンジャーズ」でも、最後の決戦「アベンジャーズ・エンドゲーム」でも幕を引いたのはトニーの決死の覚悟でしたから、「インフィニティ・サーガ」と呼ばれるМCUフェーズ1~3は彼の成長物語だったのではないかと個人的には思っています。

ところで“マーク3”から続くパワードスーツのダークレッドとゴールドのコンビネーションて、トニーのホットロッドのカラーリングをモチーフにしてるってご存知でした? 恥ずかしながらこのコラムを書くために観直した3度目の視聴で初めて気が付きました。さて、原作ではどうだったんですかね。

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TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2020年 9月号掲載

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