1992 FORD MUSTANG Convertible
愛されし我らのマスタング Let’s Go with MUSTANG
87年型の白いFOXマスタングにワイヤーホイールを履かせて乗っていた彼が、2ドアタホや4枚ドアのインパラを経て、再びFOXマスタングに返り咲いた。お気に入りだったインパラを手放してでも手に入れたいと感じさせる、その魅力とは!?
“ダサカッコイイ”クルマこそが、本当は一番格好良い!
歴代マスタングのなかで、良くも悪くも異彩を放つ独特の個性を持ったモデルがFOXマスタング。テールレンズからトランクにかけてのデザインは、どことなくビュイックやモンテカルロなど、当時のクーペボディと似たスクエア基調のシルエットで、フロントフェイスはテルスターや初期顔のトーラスを連想させる。マスタングと聞いてまず一番に思い浮かぶことはないであろう異端児的なポジションではあるが、何故かそのマニアックなところに惹かれてしまうと話すのがクボちんさん。
実は彼、カーモデリングが職業とあってフォルムを見る目が冴えており、割とエッジの効いた一癖あるクルマに惹かれる傾向がある。これまでも2ドアタホや4枚ドアの62年型インパラなど、個性的な愛車遍歴をこなしており、実は8年ほど前の2ドアSUV特集でも誌面に登場していた。
そんな彼がアメ車にハマる原点となったのがFOXマスタングで、当時はアメ車のみならずアコードなどの国産車もワイヤーホイールを履いてホッピングする時代。まさにローライダー全盛期とあって、その当時の87年型マスタングはコテコテのローライダー仕様だった。しかし、30代も後半に差し掛かった今は、あの当時の想い出に浸りつつも落ち着いた大人なりのFOXマスタングの楽しみ方もあるのではと再び乗りたくなり、東海カーズに偶然在庫されていた現車を見つけて即名古屋へ直行。しかしほんのわずかな差で、前日に嫁ぎ先が決まったと聞いて断念。
その際、在庫していた4枚ドアのインパラを見つけて、せっかく名古屋まで来たしコレはコレで格好良いと即決で購入したのがつい最近まで乗っていた愛車だ。しかし数年が経過してもやっぱりFOXマスタングへの想いは絶ち切れず、暇さえあれば情報サイトを検索する日々。そんなある日再び在庫物件として出てきたのが、前日に嫁いで諦めたあのFOXマスタングだった。インパラにも愛着は湧いていたものの、想いは一途。即連絡を取って購入の意思を告げたと言う。長年待ちわびたFOXと過ごすカーライフはまさに〝第二の青春〟。あの頃とは異なる大人な乗りこなしを見せてくれるであろう。
日本に存在するFOXマスタングはコンバーチブルモデルが多く、この個体は幌を日本で張り替え済。その際リアウィンドーをガラス化してあり、クォリティーは純正以上。基本的にオープンルーフで乗りこなす。
存在感際立つHURSTのシフトノブは、元々ATモデルだったモノを5速マニュアル化する手の込んだ仕様。今までの愛車それぞれに思い入れがあるため、ダッシュにはインパラで愛用していたフラガールを継承し、タホの時代に製作したオリジナルのKOBE 本国車検ステッカーも当時からずっと愛用し続けている。
後ろからのビジュアルは良くも悪くもマスタングらしからぬ雰囲気。どことなくギャングな印象を受けるのは映画「メナ-スⅡソサエティ」の影響か。昔はここにポンプ& バッテリーをインストールするのが鉄板だったが、現車は移植したバッテリーをツールボックスでカバー。
自身が手に入れたらやりたかったことの大半を前オーナーがやってくれていた様子で、ホーリーキャブ化や、MSDプラグコード、アルミラジエターにエアインテーク、さらにエンジン内の熱を効率的に外へ逃がすためのダクト加工までひと通り手が入った状態。残すは自身が思い描くプロスピード仕様にすべく、アレンジを加えていきたいと意気込む。
車高調とサブフレームでコンバーチブルモデルにありがちな剛性の弱さを徹底的に補強。これら作業は前オーナーが手を入れたもの。ここからさらに自身で煮詰めてシャキッと走れる様にカスタムしていきたいと語る。目指すは本国で人気のPro Street仕様だ。
20代の若かりし頃のFOXマスタング。メッキフェンダートリムにワイヤーホイールを履かせ、ハイドロを組んでホッピングするのが楽しみだった。今でも当時の写真は大切に保管しているとのこと。
OWNER:クボちん
PHOTO&TEXT:石井秋良
アメ車マガジン 2020年 9月号掲載