Amemaga_2012

et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-
#12「時代と共に変化する闇の騎士 」

マーベル・シネマティック・ユニバース(МCU) の成功以降、少し影が薄くなってしまった感のあるDCエクステンデッドユニバース(DCEU)のヒーローチーム…ジャスティスリーグですが、それでも日本人にとって最も馴染みのあるヒーローといえば、アメコミ最古のヒーローともいえるスーパーマン(1938)とバットマン(1939)でしょう。特にバットマンは何度も実写化され、それぞれそれなりに成功を収めているので、各年代毎に「俺のバットマン」像があるのではないかと。

かくいう私は、バットマン最初のブレークとなった’60年代後半に放送されたTVシリーズ(日本名:怪鳥人間バットマン)が原体験。実写にもかかわらず、乱闘シーンなどで「BANG!」など擬音が書き加えられる特殊演出や、軽快なオープニングによって正にアメコミから飛び出してきたようなポップなシリーズでした。そして約20年の時を経た’89年のティム・バートン版バットマンがその人気を不動のものにした…というより、その後に続くアメコミ・ヒーロー映画の先駆けになった気がします。今のようにCGで何でもできる時代ではないだけに、逆に手間とアイデアが詰まった特撮が興味深く楽しいシリーズでした。

そしてバットマンのポジションをぐっと高めたのは’05年から始まるクリストファー・ノーラン・トリロジー(三部作)。コメディといっても差し支えなかったTVシリーズや、ティム・バートンが手放してから迷走した前シリーズに比べ、グッと外連味をそぎ落とし、代わりに悩めるブルース・ウエインを中心に描いたトリロジーはそれまでのファンを超えた評価を受けました。特にヒース・レジャーがジョーカーを演じた2作目の「ダークナイト」は、アカデミー賞8部門にノミネートされ、2部門で受賞されています。ちなみにヒーロー物らしく数多くのヴィランが登場するバットマンシリーズですが、全てに登場しているのがジョーカー。ウソとジョークで塗り固められたキャラクターですが、異形の黒装束をまとったバットマンを自分と紙一重な危うい存在として見抜いています。両親を目の前で殺害され、復讐する(自分が悪と判断したものを排除する)ために力を備えた(つまり真っ白な正義ではない) ブルース・ウエインにとって、目的のためには手段を択ばない…という点においてはジョーカーは同族でもあるのです。その点、絶対正義のスーパーマンとは決定的に相容れない部分があり、それに起因する対立が、後に描かれるDCEUの軸になっていきます。

さて…バットマン史上もっともごつかったベン・アフレックがDCEUプロジェクトから降板したそうです。新たに抜擢されたのはぐっと若返ってロバート・パティンソン。今度はどんな悩めるダークナイトを見せてくれるのか楽しみです。
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TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2021年 2月号掲載

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