DRUGSTAR 1967 Chevrolet El Camino
ドラスリを積み込み現地で履き替える、まさにゼロヨンを楽しむためのマシン
ビンテージアメリカンの中で、ややゆる〜いイメージを持つエルカミーノ。いわゆる雰囲気重視のクルマに思われがちだが、2ドアピックアップという独特なボディ形状を最大限活用し、ドラッグマシン用に様々なモディファイを施す。
縁あって現在は東海カーズで大切に管理されている羊の皮を被ったエルカミ
「クルマは眺めるものでなく乗るもの! ビンテージカーでも、クルマはガンガン走らせてナンボでしょ!」と常に謳い続ける東海カーズ。マッスルカーを数多くラインナップするが、今回は誰もが認めるマッスルカーとは少々毛色が異なり、化け物じみた加速を誇る在庫車両のエルカミーノを紹介。
正直言ってエルカミーノは、商用車カテゴリーに属するクルマ。日本車で言うところのサニトラの様なものだが、そのボディ形状に惚れ、ドラッグ用に徹底的にカスタマイズを施したのがこの車両。元々アメリカでワンオーナーだったこの個体を前オーナーが輸入したのは随分と前のこと。「ドラスリタイヤをベッドに積み込み自走でサーキットに行き、全開でドラッグレースに参加。終わったら自走で帰ってくる」というスタイルを貫いたのは、愛知県に住むKさん。数々のドラッグレースで優勝を重ね、セントラルサーキットで開催されたJDDAのレースでは、なんと11.075秒をマーク。最新モデルならいざ知らず、半世紀前のクルマでここまで叩き出すのは驚異的だが、それを成し得たのは独自のチューニング方法。パッと見た感じは至って普通で、エンジンルームを見ても市販品を組み合わせた様に見えるが、中身は徹底的に手が加えられている。ピストンはマーレーでコンロッド&クランクはクロアに特注で製作を依頼。エンジン本体は350だがボアアップを実施しており、レーシングカーでもなかなかお目にかかれないT&D製のシャフトロッカーアームに変更。もちろんメカローラーリフターやバルブスプリングも強化してあり、パワーユニットに関しては手が入っていないところは皆無と言える。
車内を見ると、大型のオートメーターをステアリング真正面に配置。速度よりも回転数を重視しており、シフターの向きも操作性を最優先。意外にもシートはノーマルで、あくまでもスタイリングはノーマル風に留めており、まさに羊の皮を被った狼そのもの。こんな商用車でスポーツカーをブチ抜くのは、さぞ痛快だろう。
ヘッドやキャブはBRODXIに変更するが、そのままではフードから飛び出すので取り付け面を切削して装着するなど、自然なスタイリングにこだわる。フロントバンパーの左奥にはオイルクーラーを追加。裏側には電動ファンも備わる。ハイカムを組むと負圧が発生しなくなりブレーキブースターが効かなくなるので、コンプレッサーで強制的に負圧を発生。燃圧の管理はシビアで、リアバンパーの奥には大容量の燃料ポンプを備える。
ショックはビルシュタインに変更。エアリフターやドラッグリンクと言った、ドラッグレースには欠かせないアイテムもしっかりセット。テープに残された数字によると3.730のファイナルギアを組む。
4点式シートベルトは装備するが意外にもシートはノーマルのまま。ドラッグレースの場合、横方向へGは掛からないのでこれで良いということか。メーターパネルもアルミで作り直し、質素だが機能性を最優先する。
ホンキでビンテージ・モパーが欲しいなら まずは「東海カーズ」へ行け!
https://www.amemaga.com/amemaga201905_vol243_mopar_tokaicars/
男のマニュアルミッションでマッスルカーの走りを堪能するべし!
撮影協力:東海カーズ
TEL:0533-86-8890
PHOTO:浅井岳男
TEXT:空野稜
アメ車マガジン 2021年 2月号掲載