et cetera about AMERICAN CULTURE -アメカルにまつわるエトセトラ-
#18「世界の怪獣王」
ずっと楽しみに待っていた「ゴジラvsコング」の公開が、新型コロナの影響で延期となってしまいました。実は今回のエトセトラのテーマは、公開の延期が決まる前に担当編集K君から提案されたもの。そこで延期が決まった後にK君からは「変更しましょうか?」と連絡をもらったのですが、悔しいのでそのまま進めさせていただきます。ということで「ゴジラ」です。
「ゴジラといえば日本の怪獣王、それがなんでアメカルなの?」と思う方もいらっしゃるかと。しかし、国内に収めておくには大きすぎる存在なのも「ゴジラ」なのです。でなければハリウッドで映画化なんてされませんし、米レジェンダリー・エンターテイメントの「モンスターバース」は、ゴジラを主軸に据えた怪獣映画シリーズですから、ある意味でアベンジャーズなどと同格と言っても過言ではないかと。ちなみに…’77年から2年ほどですが、マーベルから「GODZILLA KING OF THE MONSTERS」というコミックまで発行され、ゴジラはマーベルコミック誌面でアベンジャーズと共演もしていたのです。
ゴジラの国外での活躍は初代の頃から始まっていました。米人新聞記者の目撃譚として再編集された、その名も「Godzilla,king of THE Monsters!(’56)」は、海外約50か国にて輸出上映されました。それまでのモンスター映画といえば、ストップモーションが主流でした。ストップモーションとは、人形を少しづつ動かしながら1コマごとに撮影したフィルムを連続再生するテクニックですが、手間と時間がかかるわりにミニチュアなので迫力もいまいち。対して着ぐるみのゴジラは、動きがスムーズなうえに、建造物の破壊も迫力があります。そんなわけで、瞬く間のうちにゴジラは文字通り世界の怪獣王となりました。
そして約40年後の’98年、「インデペンデンスデイ」などで有名なローランド・エメリッヒによって初のハリウッド映画化がなされたのですか…日本はもとより、米国での評価も残念ながら高くはありませんでした。モンスター・ムービーとして観ればそれほど悪くはないのですが、ゴジラとしてみると…。しかし、それでも「作らない」とはならないのがゴジラの牽引力なのでしょう。’14年に公開された「GODZILLA」は、フルCGながら着ぐるみをベースとしたシルエットをゴジラに与え、さらに初代ゴジラのキーパーソンであった芹沢博士まで登場させるなど万全の体制にて製作されたこともあってか、後に続く「モンスターバース」の勢いに拍車をかけることができました。
さて、そのモンスターバースシリーズの第4弾「ゴジラvsコング」。すでに米国では公開されているのでWEB上にはネタバレ情報がゴロゴロ…。そんなわけで一日千秋の思いで日本国内公開を待っているのです。
TEXT & ILLUSTRATION : JIN HATTA
アメ車マガジン 2021年 8月号掲載