DODGE CHARGER(ダッジチャージャー)1966-78y, 81-87, 2006y-
かつてのチャージャーファンからすると、「4ドアセダン」は違うんじゃないかとか、チョット丸っこくなりすぎじゃないかとか、言いたいことがあるかもしれないが、今のチャージャーもチャレンジャーと並ぶ立派なマッスルカーであることに違いはない。
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「ダッジ・チャージャー」というクルマは、これまでに3つのまったく異なるスタイルでリリースされてきた。最初は1966年からの2ドアインターミディエイトファストバックマッスルカーの時代、次は1981年からのサブコンパクトスポーティカーの時代、そして現在の4ドアフルサイズセダンマッスルカーである。このうち、2番目のサブコンパクトチャージャーは、現在の日本ではまず目にする機会がない。というか、ひょっとすると1台も実車が無い可能性もあるのではないか。でも最初のインターミディエイトマッスルのチャージャーはたくさんあるし、いわゆるモパーマッスルとして、インターミディエイトクラスという独自の存在であることもあって、熱烈なファンが多い。
そのチャージャーと現在のチャージャーは、実はまったくつながりがない。実際のところ同じなのは名前だけだ。しかし、現在の4ドアセダンマッスルカーとしてのチャージャーは好評である。
最初の4ドアチャージャーは2006年モデルでのデビュー。ダッジブランドのアイデンティティであるクロスヘアグリルを大きくフィーチャーしたスタイリングだった。その後、2011年モデルでモデルチェンジ。スタイリングは一見キープコンセプトに見えたが、シャシーは一新され、新たなLXプラットフォームをベースとしたものだった。その後、2015年モデルでスタイリングを一新、この時はシャシー関係はキャリーオーバーであり、実はモデルチェンジではない。そのへんのモデルレンジはあくまでも同じLXプラットフォームを使用しているクライスラー300と同じ流れに従っているので注意が必要。
そしてそのフェイスリフトが行なわれた2015年モデルで、世界最強の搭載エンジンを獲得する。707hpを発揮するヘルキャットエンジンを搭載したSRTヘルキャットである。ヘルキャットはチャレンジャーの方が先に発表されたが、どちらも同じ2015年モデルでの発売となった。このへんを見ると、チャージャーを単なるフルサイズ4ドアセダンではなく、チャレンジャーの4ドア版マッスルカーとして位置づけているダッジの戦略が理解できる。そうした考え方は、現在のチャージャーにデイトナ392やR/Tスキャットパックなどのバリエーションがあることにも表れている。
チャージャーの最新のエンジンラインナップは、先ほどのヘルキャット6.2ℓV8HEMIスーパーチャージャー(707hp/89.8kg-m)、6.4ℓV8HEMI(485hp/65.7kg-m)、5.7ℓV8HEMI(370hp/54.6kg-m)、3.6ℓV6(300hp/36.5kg-m)という4種類で、これはチャレンジャー・デーモンをドラッグレース専用車という特別な存在として除外すると、チャレンジャーとまったく同じものである。
かつてのゴリゴリのマッスルカーと違って今のクルマはインジェクションなので、アクセルを踏み込めばエンジンが唸りを上げて加速するが、街中で大人しく走っている分には大パワーエンジンであることを意識する必要がない。日常の足として普通に使える高性能車なのである。だから、チャージャーが4ドアセダンであることに意味がある。家族を乗せて走れるマッスルカーなのである。
Dodge Charger SXT
Dodge Charger R/T Scat Pack
Dodge Charger Daytona 392
Dodge Charger Daytona
Dodge Charger SRT 392
2016 Dodge Charger SRT Hellcat Specifications | |
全長 | 5100㎜ |
全幅 | 1905㎜ |
全高 | 1478㎜ |
ホイールベース | 3058㎜ |
トレッド | 前 1610㎜/後 1617㎜ |
重量 | 2075kg |
エンジンタイプ | V8 OHV スーパーチャージャー |
総排気量 | 6.2ℓ |
内径×行程 | 104.1㎜× 91.4㎜ |
圧縮比 | 9.5 : 1 |
最高出力 | 707hp / 6000rpm |
最大トルク | 89.8kg-m / 4800rpm |
燃料供給装置 | 電子式燃料噴射( 筒内直接噴射) |
変速機 | 8AT |
EPA燃費 | 市街地5.5㎞ /ℓ/高速9.4㎞ /ℓ |
サスペンション前 | ショートロングアーム・コイルスプリング |
サスペンション後 | マルチリンク・コイルスプリング |
ブレーキ前 | ベンチレーテッドディスク・6ピストン |
ブレーキ後 | ベンチレーテッドディスク・4ピストン |
タイヤサイズ前後 | P275/40VR20 |
1st Generation 1966-67
1964年4月に一般公開された最初のフォードマスタングの一人勝ち状態にくさびを打ち込むべく企画された初代チャージャー。マスタングのガチンコのライバルではなく、少しずらしたインターミディエイトクラスとして新たなマーケットの開拓を狙った。
2nd Generation 1968-70
パーソナル・ラグジュアリーカーとしての初代モデルの販売が思うように伸びなかったのを受けて、第二世代はマッスルカーとしての性格を前面に出したデザインとされた。より強力でATとの組みあわせも可能な440エンジンも好評だった。
3rd Generation 1971-74
マスキー法による排ガス規制やオイルショックなど、マッスルカーにとっては真っ向からの向い風と言える状況の中でパワーダウンを余儀なくされた第三世代。状況の急変の中で有効な手を打てずにチャージャーの販売台数も急激に減っていった。
4th Generation 1975-78
もはやマッスルカーではなくなってしまったチャージャー。それでも魅力を付加するべく、豪華な装備を施してパーソナル・ラグジュアリーカー路線へと舵を切ったが、結果的にチャージャーとしての存続を諦めることになった。
5th Generation 1981-87
以前のチャージャーとはまったく違うサブコンパクトスポーツとしてチャージャーの名前を復活させた第五世代。他メーカーも似たような車種を用意したものの、どれも決定打になることはなく、一時のつなぎ的な存在として認識されるにとどまっている。
6th Generation 2006-10
4ドア?という反応も一部にあったものの、2005年モデルからの5thマスタングがヒットモデルになっており、チャージャーもあわせて「リバイバルマッスルカー」などと呼ばれ、ブームの兆しが見える。ここからチャレンジャーの企画も進んでいくのだ。
現行モデルのチャージャーへと連なる流れは、最初から4ドアセダンとしてのものだった。当時はGMがカマロ/ファイアーバードの廃止を決断するほどだったので、そもそも新たなクーペモデルの企画が進むはずがない。
クライスラー社が独ダイムラーに吸収されて翌1999年のデトロイトショーに「ダッジ・チャージャーR/Tコンセプト」という名のコンセプトカーが出展された。この時点でチャージャーのデザインコンセプトはすでに固まっていて、クーペスタイルであるのは間違いないが4ドアであることは明確にアピールされていた。
ただし当時のクライスラー社にはチャージャーに使用する適当なFRシャシーが無く、メルセデスベンツの設計を使用したLXをプラットフォームによって実現されることになった。その段階でマグナムやクライスラー300との関係も構築されていったのである。
CUSTOMIZED MODELS
最速のファミリーカー
日本に入ってきたチャージャーのヘルキャットを早速カスタム。とはいえ最初の1台に既存のパーツはない。コルベットやマスタング用のパーツを加工して取り付けたり、欧州車用のパーツを3車種から集めて切ってつないでひとつのパーツを造ったり、ということを繰り広げた結果として仕上がったのがこれ。まさに唯一無二。
http://www.revolver-customs.com
https://www.dodge.com
■Text & Photos|アメ車MAGAZINE
2018年 アメ車マガジン 3月号掲載