日本人が生来持つ勤勉さと器用さを活かし使う人への思いやりから生まれるワンオフマフラーをビンテージカーに…
突然だが、アメリカン・ビンテージといえば40年も50年も前のクルマ。リペアパーツはどうしたらいいだろう? もちろん“自動車文化大国”であるアメリカのこと、日本のメーカーのように10年前のモデルのパーツなんてありません、なんてことはないわけだが、それでもそんな昔のクルマとなるとさすがにメーカー純正ではなく、サードパーティのメーカーによるデリバリーに期待するしかないものも多い。それでも、車種によってはもうパーツが生産されていなかったり、あったとしても手に入れるのが困難、あるいは輸送費を含めるとかなり高価なものになってしまうことは、十分にありうる。要するにビンテージカーを維持するのは、手間もかかるしお金もかかるということ。
そんなビンテージカー・オーナーの悩みに応えてくれるサードパーティのパーツメーカーが、ここ日本にもようやく現れた。日本でも屈指のマフラーメーカー『サクソンレーシング』だ。製品はマフラーに限られてしまうが、それでもオーナーにとってはありがたい。だいたい古いアメ車というと、まずはマフラーからダメになってしまっている例も多い。日本の高温多湿な気候に、アメリカ製は大きなダメージを受けやすい。それに、もしも向こうのメーカーで当該のマフラーがあったとしても、モノが大きくて運送費もバカにならない。それよりも、ここ日本で、日本の気候に合った商品(たとえそれがレプリカでも)があれば、それを選んだ方が賢いのではないだろうか?
サクソンの製品はもちろん日本国内の自社工場で生産する。4WD車のガードやマフラーのメーカーとして20年以上の歴史を持ち、自動車メーカーはじめ有名カーショップ、有名パーツブランドのOEMも数多く手がけてきた。当然、様々な車種の専用マフラーも手がけているが、近年はワンオフマフラーの製作も行っている。それは、専用品がリリースされていないレアなクルマ向けだったり、自分ならではのパフォーマンスやデザインを求めるユーザーの声に応えるためだ。クルマのカスタマイズもどんどんパーソナル化が進んでいる今、ワンオフマフラーが改めて注目されているのだ。
今回、サクソンがビンテージカーのためのマフラー製作に立ち上がってくれたのも、そんなワンオフ・マフラー造りの流れがあったから。’60~’70年代さながらの、純正に似せて作るもよし、径をちょっと太くしてみたり、サウンドにこだわってみたり、自分なりのアレンジを加えるもよし。サクソンなら、どんなリクエストにも必ずや、満足できる答えを用意してくれるはずだ。
車種専用にリリースされるマフラー、そしてワンオフ製作されるマフラーも含め、サクソンの製品はすべて埼玉県にある自社工場で生産される。しかも、ほとんどが熟練した職人さんたちによる手作りだ。パイプの曲げ、溶接、磨き、消音器の製作など、それぞれが専門に携わり、最高品質の製品を作り上げている。そのため大量生産はできないが、だからこそ1人1人のユーザーのリクエストに応えるためのキメ細かい対応が可能になるのだ。
マフラーの素材には基本的にステンレスを採用している。その中でも最高品質のSUS304素材を使用する。サビや腐食にとくに強いのが特徴で、湿度の高い日本の厳しい環境の中でも、一生もののパーツとして購入できるものになる。リクエスト次第でチタン素材やスチール素材による製作も受けてくれる。ただしチタンはコスト、スチールは耐久面であまりススメてはいないということだが。なおビンテージカー用のマフラーは、リペア、あるいはワンオフ製作で受け付けてくれる。施工・製作の過程はこうだ。
まずはユーザーからメールや電話でサクソンにオファー。自分の愛車について、既存のものをリペアするか、それとも製作するかを相談する。このとき、おおよそのプライスについても聞いておくといいだろう(アメリカ製を取り寄せるより、かなりリーズナブルなはずだ)。そしてたのむことを決めたら、ユーザーがマフラーの現品をサクソンに送付するか、あるいはクルマをそのまま持ち込む。オススメはクルマを持ち込むこと。その場でマフラーの具合をチェックし、リペアできるかどうか、あるいは製作するマフラーの取り回しや形状を確認しやすいからだ。決まればすぐ作業にとりかかる。
ちなみに完成までは1~3日ほど、とのこと。代車などの用意もあるので、クルマを預けてもいい。あとは再生された愛車のエキゾーストノートを待つのみだ。
現車持ち込みのワンオフ製作も可能!
旋盤や 150 トンのプレス機、ベンダー、溶接機、研磨機などといった機器を駆使し、材料の切り出しから加工、仕上げまで、マフラーの製作に関わるほぼ全ての作業を彼らの手で行なっている。カタログモデルだけでなく現車を持ち込んでのワンオフマフラー製作も可能だ。
工場内にはマフラーの部材やマフラーを形作るためのジグなどがところ狭しと並べられていた。パイプ部やフランジ、サイレンサーなど、クルマにより使うパーツが異なるわけだからそのストックの数も膨大なものになる。ある程度の所まで製作を進めておき、テールエンドなどの細かな仕様はオーダーが入ってから仕上げられる。
●お問い合わせ:SUXON RACING(サクソンレーシング) http://www.suxon.jp/
■Text & Photos|AMERICAN VINTAGECAR magazine